空き家になる前に「家じまい」を考えてみる
住まなくなった実家など、処分に困っている人が確実に増えてきています。
空き家問題を放置していると、雑草や樹木が生い茂ったり、近接している家屋の倒壊など、近隣に迷惑をかけてしまうことが多く、相続した(する予定)方の判断に委ねられています。
今年7月に発表された基準地価は東京、大阪、名古屋の3大都市圏は変動率の上昇幅が拡大したものの、郊外の土地では下落傾向が続いています。
これは郊外に残された実家の売却がどんどんしづらくなっていることを示唆しています。
「家じまい」とは?
家じまいとは、終活の一環として、自分自身が住んでいる家を処分することをいいます。自分自身が住んでいる家を処分するのが「家じまい」、子どもが親の住まいを処分するのが「実家じまい」と言われています。
家じまいをすることで、遺された家族にできる限り経済的・精神的・肉体的負担をかけないで済みます。家じまいには次のようなメリットがあります。
資産を管理しやすいように整理できる
相続トラブルや相続の負担を軽減できる
突然の死後も家族に相続トラブルを起こさせない
また、家じまいにかかる費用は、以下のようなものがあります。
※司法書士により異なる
鉄骨造なら5~7万円/坪、
鉄筋コンクリート造なら6~8万円/坪
30坪の家を解体する場合は、一般的に約75万円~120万円ほどかかります。
実際には家の立地などさまざまな要素に左右されるので、解体工事費用は事前に詳細な見積もりを取りましょう。
解体後の土地活用にも資金が必要になるため、できるだけ安く抑えたいところです。
家の中にある荷物や不用品を片づけるには、不用品回収の専門会社に依頼するのも良いでしょう。買い取りサービスも行っている場合は、不用品を売ったお金を家じまいの費用の一部にできます。
まずはご自身でできる作業を済ませ、難しい部分は専門業者に引き継ぐことで、費用を抑えることが可能です。
空き家の2025年問題とは?
2025年以降は、団塊の世代が後期高齢者になることで、空き家や相続不動産の増加、労働力不足、介護・医療現場の崩壊、経済悪化などの社会問題が取り沙汰されており、特に地方、郊外での空き家の増加が顕著になり、供給過多から価格下落をお越し、さらに売却がしにくい状況となります。
実家などを相続した場合は相続して3年後の年の12月31日までに一定の要件を満たして売却できた場合は、譲渡所得から3,000万円を特別控除されます。
さらにその適用期間は2027年(令和9年)12月31日までに延長されました。これは空き家の発生を抑制するための特例措置となります。
空き家を再活用する予定がない場合は、早急に売却した方が良いと言えます。
国土交通省
空き家の発生を抑制するための特例措置 ▶︎
空き家をビジネスチャンスに変える方法とは?
一方で、空き家や土地を活用したビジネスチャンスもあります。
建物の傷み具合によってリフォームが必要になるケースもありますが、選択肢は広がります。
・民泊
民泊に関する法律や条例は地域によって異なりますが、条件を満たせば収益につながります。
関係する法律等:旅館業法、特区民泊、または住宅宿泊事業法に基づく届出
・シェアハウス
収益と低空室リスクを両立できる魅力的な賃貸経営スタイルです。シェアハウス市場は既に一定の規模を持ち、今後も需要が見込まれています。
・カフェ経営
空き家をカフェとして活用することは、参入障壁が低く節税対策があるなどのメリットがあります。独自のコンセプトの確立、周辺の競合調査、そして運営資金の余裕を持った計画が必要です。
・戸建て賃貸
賃貸に出すことで、建物の劣化を遅らせ、毎月の賃料収入の確保と資産を保持できます。
・サテライトオフィス
多様な働き方が必要とされる中、サテライトオフィスの需要が急増しています。
地方公共団体の支援を受けられる場合もあり、初期費用を抑えやすく、管理の手間を減らせるなどのメリットがあります。
・介護施設
介護施設としての再活用は、高齢化社会の進展と空き家問題の解決に対する有効です。
都心部に限らず郊外でも需要があり、立地による制限が少ないのも大きなメリットです。
・コワーキングスペース
テレワークの普及によって需要が高まっているコワーキングスペースは、単なる倉庫に比べてより高い賃料設定が可能になるため、収益面でも期待が持てるでしょう。
・トランクルーム
初期費用が少なく、築年数が経過していても問題なく、継続して収益を得ることができるメリットがあります。
関係する法律等:●倉庫業法●賃貸借契約法
・バイクガレージ
大型バイクをターゲットにした屋根付き賃貸型バイクガレージは、希少性があり立地によっては比較的高い家賃設定が可能です。
・駐車場運営
駐車場転用は、整地する必要がありますが、少ない初期費用で始められる点がメリットです。安定した月極や時間貸しとすることで収入が見込めます。他の建物と比べて、駐車場の維持管理は比較的簡単で手間がかかりません。
家じまい・実家じまいにかかる費用を安くする4つのポイント
家じまい・実家じまいにかかる費用を安くするにはポイントがあります。以下の点を心得て行動してみましょう。
●できるだけ自分で片づける
費用を安くしたいなら、できるだけご自身で片づけましょう。ご自身で片づければ、その分費用は節約できます。特に不用品の量が多い場合、ある程度減らした状態で買取・回収業者に依頼すれば大幅に費用が安くなります。
●なるべく早めに家じまい・実家じまいを始める
ご両親やご自身が元気なうちから家じまいを始めるとよいでしょう。売れるものの整理を丁寧にできるため、費用を安くできる可能性があります。また、じっくり考える時間もあるので、本来は捨ててはいけないものをうっかり捨ててしまうトラブルも起きにくいです。
●買い取りサービスのある遺品整理会社に依頼する
家じまいの場合には、買い取りサービスがある遺品整理会社を選ぶのが良いでしょう。買取・回収業者に依頼すれば、不用品をお金に換えることができます。家じまい費用の一部に充てられるので、総合的に費用を抑える助けになります。
●相見積もりをとる
買取・回収業者に依頼する前に、サービス内容や料金の比較のために複数社に相見積もりをとっておきましょう。だいたいの相場がわかってきます。安さも大切ですが、詳細な内容を提示してくれる業者だと安心して依頼できるでしょう。
土地を手放して国に引き取ってもらうには、令和5年4月27日から開始された国庫帰属制度の利用も検討してみましょう。
法務省
相続土地国庫帰属制度について ▶︎
家じまいはお早めに
家じまい、実家じまいは大切な家を手放す作業ということなので、ご自身だけで進めるのは意外と大変です。早い段階から着手し、ご自身だけで手が回らない部分は市町村若しくは、身近な信頼出来る専門業者に相談しましょう。
また、ご自身以外のご家族とのコミュニケーションも重要です。ご家族にとっても実家は大切な場所である以上、勝手に進めるのはトラブルの原因にもなります。小さな疑問であっても適宜共有し、お互いに納得のいく形で進めましょう。
じっとしていては、何も解決しないうえに、住宅の売りにくさや劣化など、リスクはどんどん高くなります。
まずは相談して、動きましょう!
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